現代はインターネットを駆使して、容易に誰でも希望物件を見つけ出せるようになりました。
本来は、不動産業者が買主から念入りにヒアリングして背景を十分に汲み取り、買主の代理として最良の住まいを見つけ出すことが、最初の大きな仕事だったはずです。
しかし今では、買主側の負担が大きくなってきたといえます。
より端的にいえば、家探しは買主側のセルフサービスになりつつあるということです。あらかじめインターネットで物件を見ておけることは决して悪いことではないのですが、セルフサービス化するのであれば、不動産業者の業務が減った分、物件価格や諸費用も減るべきではないかというのも、1つの考え方になります。
たとえば、セルフのガソリンスタンドは自分で給油する分、料金は安くなっています。セルフの飲食店も料理や飲み物を自分で運ぶ分、飲食代がお得になっています。したがって、物件検索を自分でする分、物件価格や諸費用も安くするのが当然ではないでしょうか。しかし、実際は物件価格や諸費用は減っていません。不思議に感じるところです。
私は、不動産業に従事する者として、次のような理念を持って業務に接しています。
「インターネットなどを使ったお客さまによる家探しは、参考程度にしていただくべき。大切なのはそこから先。私たち不動産業者は、家探しをお客さまに委ねず、十人十色なお客さまの背景を汲み取り、希望を満たすことのできる物件情報の提供を行うことで、お客さまに喜んでいただけるサービスを提供すべきである」
このような理念を持って業務に望んでいるか否かが、不動産業者の良し悪しにつながってくると思います。